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受水槽の解体・撤去工事|費用相場・手順・種類別の注意点を解説

受水槽の解体・撤去が必要になるケース

受水槽(貯水槽)とは、マンションやビル、工場、病院などの建物に設置されている水道水の貯水設備です。水道本管から一度受水槽に水を貯め、ポンプで各階に給水する仕組みで、中高層建物では広く使われてきました。

しかし近年、水道の直結増圧給水方式への切り替えが進んでおり、不要になった受水槽の解体・撤去を検討するケースが増えています。主な撤去理由は以下の通りです。

直結給水方式への切り替え

水道局の配水管から直接各階へ給水する方式に変更すると、受水槽が不要になります。受水槽の維持費(年1回の清掃義務・水質検査・ポンプ電気代)が削減できるため、マンションの管理組合や事業所で切り替えが進んでいます。

老朽化による安全面の問題

FRP(繊維強化プラスチック)製の受水槽は一般的に耐用年数が15〜25年とされています。老朽化が進むと漏水や腐食のリスクが高まり、衛生面でも問題が生じます。更新(新しい受水槽への交換)ではなく、直結化と合わせて撤去を選ぶケースが多くなっています。

建物の解体に伴う撤去

建物全体の解体工事を行う際には、受水槽も当然撤去対象になります。建物本体の解体費用に受水槽の撤去費用が含まれる場合と、別途見積もりになる場合があるため、事前に確認が必要です。

受水槽の種類と特徴

受水槽の解体方法や費用は、材質や設置場所によって大きく異なります。まずは受水槽の種類を把握しましょう。

種類特徴耐用年数の目安撤去の難易度
FRP製(パネル型)軽量で最も普及。パネルをボルトで組み立てた構造15〜25年比較的容易
ステンレス製耐久性が高く錆びにくい。FRPより重い30年以上やや大変
RC製(コンクリート)地下ピットに設置されるケースが多い。大容量30〜40年大規模工事
鋼板製古い建物に多い。錆が進行しやすい15〜20年比較的容易

千葉県内のマンションや事業所では、FRP製とステンレス製の受水槽が多く見られます。

受水槽の解体・撤去の流れ

受水槽の撤去工事は、概ね以下の手順で進みます。

ステップ1:現地調査と見積もり

受水槽の材質・サイズ・設置場所(屋上・地上・地下ピット)を確認し、撤去方法と費用を算出します。クレーンが必要か、搬出経路は確保できるかといった現場条件も重要なポイントです。

ステップ2:断水の手配と給水の切り替え

受水槽を撤去する前に、直結給水への切り替え工事を完了させておく必要があります。切り替えが完了するまでは断水が発生するため、居住者や施設利用者への事前告知が必須です。建物の解体に伴う撤去の場合は、この手順は不要です。

ステップ3:水抜きと内部清掃

受水槽内の水を完全に抜き、内部を清掃します。長年使用した受水槽にはスラッジ(沈殿物)が溜まっていることがあり、適切に処理する必要があります。

ステップ4:解体・搬出

FRP製やステンレス製の場合は、ディスクグラインダーやレシプロソーなどでパネルを切断し、搬出可能なサイズに分解します。RC製の場合はコンクリートの斫り(はつり)作業が必要になり、工期も長くなります。

屋上に設置されている場合は、切断した部材をクレーンで地上に降ろす作業が加わります。地下ピットの場合は、搬出経路の確保が課題になることがあります。

ステップ5:配管の処理と基礎の撤去

受水槽に接続されていた給水管・排水管を適切に処理(撤去または閉塞)します。受水槽の基礎(コンクリート基礎やH鋼架台)の撤去も必要に応じて行います。基礎撤去まで含むかどうかで費用が変わるため、見積もり時に確認しましょう。

ステップ6:廃材の処分

FRPは産業廃棄物として処分する必要があります。ステンレスや鉄は有価物としてリサイクルに回せるため、処分費の軽減につながるケースもあります。

素材別の受水槽撤去方法の違い

受水槽の材質によって、撤去の工法・必要な機材・工期が大きく異なります。ここでは代表的な3つの素材について、撤去方法の違いを詳しく解説します。

FRP(繊維強化プラスチック)製の撤去方法

FRP製受水槽はパネルをボルトで組み立てた構造のため、解体が最も容易です。撤去の手順は以下の通りです。

①水抜き・内部清掃の後、天板パネルのボルトを外して天板を撤去
②側面パネルを上段から順にボルトを外して分解
③パネルが大きい場合はディスクグラインダーで切断して搬出サイズに調整
④底板パネルの撤去
⑤架台(鋼製またはコンクリート基礎)の撤去

FRPは軽量なため、屋上設置でもクレーンを使わず人力で搬出できるケースがあります。ただし老朽化が進んだFRPは割れやすく、粉塵が発生するため防塵マスクの着用が必要です。FRPは産業廃棄物(廃プラスチック類)として処分します。

ステンレス製の撤去方法

ステンレス製受水槽はFRPより重量があり、切断にも時間がかかるのが特徴です。

①水抜き・内部清掃
②溶接接合部またはボルト接合部を確認し、分解方法を決定
③プラズマ切断機またはディスクグラインダーで切断(ステンレスは硬いため刃の消耗が早い)
④クレーンまたは人力で搬出

ステンレスは有価金属のため、スクラップとして売却できる場合があります。材質がSUS304であれば買取価格が比較的高く、撤去費用の一部を相殺できることもあります。解体業者に見積もりを依頼する際は、ステンレスの売却益を費用に反映してもらえるか確認しましょう。

RC(鉄筋コンクリート)製の撤去方法

RC製受水槽は主に地下ピットに設置されており、撤去工事の規模が最も大きくなります。

①水抜き・内部清掃・汚泥の吸引処理
②コンクリート壁をハンマードリルやコンクリートカッターで斫り(はつり)
③鉄筋をガス切断機で切断
④コンクリートガラをダンプトラックで搬出
⑤地下ピットの埋め戻し(砂・砕石による埋め戻しまたは土間コンクリート打設)

RC製は振動・騒音が大きいため、近隣配慮が特に重要です。工期もFRP製の2〜3倍(1〜2週間)かかるのが一般的です。地下ピットの埋め戻し費用も含めると、FRP製の3〜5倍の費用になることがあります。

比較項目 FRP製 ステンレス製 RC(コンクリート)製
主な切断工具 ディスクグラインダー プラズマ切断機・グラインダー ハンマードリル・コンクリートカッター
作業人数の目安 2〜3人 2〜4人 3〜6人
工期の目安 1〜3日 2〜4日 1〜2週間
騒音レベル 中程度 中〜大
廃材の扱い 産業廃棄物(廃プラ) 有価物(売却可能) 産業廃棄物(コンクリートガラ)
費用の目安(10t級) 20万〜50万円 25万〜60万円 60万〜150万円

受水槽の撤去費用の目安

受水槽の撤去費用は、材質・サイズ・設置場所・付帯工事の範囲によって異なります。以下は一般的な目安です。

受水槽の条件費用の目安
FRP製・地上設置(小型〜中型)15万〜40万円
FRP製・屋上設置(クレーン必要)30万〜80万円
ステンレス製・地上設置20万〜50万円
RC製・地下ピット50万〜150万円以上
基礎コンクリートの撤去(追加)5万〜20万円
配管処理・閉塞工事(追加)5万〜15万円

上記はあくまで目安であり、実際の費用は現場条件によって変動します。複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。見積もりの比較方法については「相見積もりの取り方と比較ポイント」も参考にしてください。

受水槽の撤去で注意すべきポイント

アスベストの確認

古い受水槽の断熱材や配管の保温材にアスベストが含まれている可能性があります。2006年以前に設置された受水槽は、事前にアスベスト調査を行うことが重要です。アスベストが検出された場合は専門業者による除去工事が必要となり、費用も追加されます。

届出が必要なケース

有効容量が10㎥を超える受水槽(簡易専用水道)を撤去する場合、水道法に基づき保健所への届出が必要です。届出手続きについては解体業者や管理会社が代行してくれることも多いため、事前に確認しましょう。

建物の構造への影響

屋上に設置された受水槽を撤去する場合、撤去後の防水処理が重要です。受水槽の基礎部分を撤去した跡から雨漏りが発生するケースがあるため、防水工事までセットで計画する必要があります。

近隣への配慮

受水槽の解体作業では、金属の切断音やクレーン作業による騒音が発生します。マンションの場合は居住者への事前告知、近隣住宅がある場合は挨拶回りを行いましょう。近隣挨拶の進め方については「解体工事の近隣挨拶マナー」で詳しく解説しています。

受水槽の撤去は解体業者に依頼できる

受水槽の撤去は、設備工事会社に依頼するケースと解体工事業者に依頼するケースがあります。建物の解体と同時に行う場合は、解体業者にまとめて依頼するのが効率的です。

受水槽単体の撤去の場合でも、解体業者なら切断・搬出・廃材処分まで一括で対応できるため、複数業者への手配が不要になります。ただし、直結給水への切り替え工事は水道設備の専門業者が担当するため、切り替え工事と撤去工事の連携がスムーズにいくよう段取りを確認しておきましょう。

受水槽と防火水槽の違い

受水槽の撤去を検討する際に、「防火水槽」との違いについて質問をいただくことがあります。名前は似ていますが、用途も法的な扱いも大きく異なります。

比較項目 受水槽(貯水槽) 防火水槽
用途 日常の生活用水・業務用水の貯水 消防活動用の消火水源
設置根拠 建築基準法・水道法 消防法・市町村条例
設置場所 建物の屋上・地上・地下ピット 主に地下(道路下・公園下・敷地内)
容量 数t〜数十t 40t〜100t(消防法基準)
管理者 建物所有者・管理組合 市町村(公設)または建物所有者(私設)
撤去の可否 所有者の判断で撤去可能 消防署との協議が必要。代替水源の確保が条件になる場合あり

防火水槽の撤去には消防署との協議が必須

受水槽は所有者(建物オーナーや管理組合)の判断で撤去できますが、防火水槽は消防法に基づく消火設備のため、勝手に撤去することはできません。撤去を検討する場合は、まず管轄の消防署に相談し、以下の確認が必要です。

・防火水槽が「公設」か「私設」か
・撤去した場合に代替の消火水源(消火栓・他の防火水槽)が確保できるか
・市町村の条例で撤去に関する規定があるか

千葉県内では、開発行為に伴い設置された私設防火水槽が老朽化し、撤去の相談をいただくケースがあります。千葉市船橋市柏市などでは、消防署との事前協議を経た上での撤去工事に対応しております。

まとめ|受水槽の撤去は事前の現地調査が重要

受水槽の解体・撤去は、材質・サイズ・設置場所によって作業内容と費用が大きく変わります。特に屋上設置や地下ピットの場合はクレーンや特殊な搬出作業が必要になるため、必ず事前の現地調査を経て正確な見積もりを取りましょう。

千葉県内の各エリアの解体工事については、千葉市船橋市松戸市市川市をはじめ、対応エリア一覧もご覧ください。

株式会社心和では、受水槽の撤去工事にも対応しております。建物の解体と合わせた撤去はもちろん、受水槽単体の撤去も承ります。千葉県内で受水槽の撤去をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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